- とて
- とて〔格助詞「と」に接続助詞「て」が付いたものから〕※一※ (格助)(1)文または文に相当する語句に付いて, 「といって」「と思って」の意を表す。
「買物に行く~出かけた」「写真をとる~高い所へ上った」「一の上(カミ)にてやみなん~出家し給ひにけり/徒然 83」「男もすなる日記といふものを, 女もしてみむ~するなり/土左」
(2)体言に付く。 (ア)原因・理由を表す。 現代語では, 多く「こととて」の形で用いられる。「なれぬこと~やりそこなった」「しなれぬ業~見つけられ/歌舞伎・阿波の鳴門」(イ)「といって」の意を表す。 「真乗院に盛親(ジヨウシン)僧都~やんごとなき智者ありけり/徒然 60」
※二※ (係助)体言や準体助詞「の」に付いて, ある事物が他の一般の場合と同様の事情に属することを表す。 …でも。 …だって。「その件に関しては, 部長~責任はまぬかれない」「文字が鮮明でないという点では, 私の持っているの~変わりはありません」
※三※ (接助)活用語の終止形や接続助詞「ば」「から」などに付いて, 仮定の逆接条件を表す。 ある事物が正当の理由にはならない, または予想とは逆の結果を招く, といった場合の条件を表すのに用いられる。 たとえ…といっても。 …としても。「法案が成立した~, 実施できなければだめだ」「体調が悪かったから~, 無断欠席は困る」「あやしの物なり~, したしくなつけ侍らんに, いかでかその徳を得ざらん/仮名草子・伊曾保物語」
→ たって(接助)→ って(接助)
Japanese explanatory dictionaries. 2013.